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観光復興へ 顔出しんさい! 豪雨の風評被害払拭へ広島県 ご当地パネル続々設置

 昨年7月の西日本豪雨で減少した旅行客を呼び戻そうと、広島県が観光振興に力を入れている。SNS(会員制交流サイト)などでの拡散を狙い、県内各地のスポットで地域色のあるユニークな「顔出しパネル」の設置をスタート。被災自治体などと連携した観光プロモーションも始めた。中国地方有数の観光都市の元気な姿を発信することで、風評被害の払拭(ふっしょく)を目指している。王子が岳をボルダリング“聖地”に 「何これ、写真を撮ろうよ」。温浴施設を備えた「道の駅スパ羅漢」(廿日市市)。駐車場の一角に設置された顔出しパネルに、家族連れやカップルが引き寄せられる。

 縦190センチ、横110センチ。バラ栽培が盛んな同市にちなみ、少女漫画の名作「ベルサイユのばら」に登場するマリー・アントワネットとオスカルがバラの花とともに描かれ、オスカルに顔出し用の穴が開けられている。

 「ここで撮影した写真はぜひインスタグラムやブログに投稿し、多くの人と共有してほしい」とパネルを設置した県観光課の山本栄典課長。県内の観光スポットを全国にアピールする手段として発案した。

 昨年11月末に設置した廿日市市を皮切りに、現在は県内11カ所に拡大。デザインは各市町と協議して決め、三次市では地域に残る伝説を基に妖怪の絵柄を採用、三原市は特産のタコをモチーフにした。福山市などでも準備を進めており、2月中に県内約20カ所まで増やす計画だ。

 背景には豪雨以降の観光客の落ち込みがある。県内の主要スポットを訪れた観光客数は、豪雨が発生した昨年7月に前年比63%と大幅に減少。その後徐々に回復したが、11月まで前年実績を下回る状態が続いた。

 県は近年、地元出身タレントを起用したPRなどを展開。これまで6年連続で総観光客数が過去最多を更新してきたが、昨年は前年を大きく下回る見通しだ。

 こうした中、県は「元気です!中・四国」をキャッチフレーズに岡山、香川など中四国8県と連携し、豪雨で落ち込んだ観光需要の回復を目的とした復興プロモーションを昨年12月に始動した。インターネットの特設サイトで各県のスポットを紹介。「温泉」「グルメ」などテーマごとにお薦めをリストアップするなど、旅心をくすぐる工夫を凝らす。大都市圏などでPRイベントも定期的に開く方針という。

 山本課長は「観光需要の回復は復興の大きな下支えになる。今後も観光情報の発信を工夫し、誘客につなげていく」と話している。